睡眠前のブルーライト

睡眠障害を有さない若年男性における就寝前の光照射による起床後の主観的睡眠感,注意力および作業効率の変化 -白熱電球と青色光の比較-」

論文URL
https://www.niph.go.jp/journal/data/69-5/202069050008.pdf

P:睡眠障害を有さない若年男性(20-23歳)
I:ブルーライト(467nm)照射(1時間)
C:白熱電球(780nm)照射(1時間)
O:主観的睡眠感、睡眠状況、注意力、作業効率

目的:本研究は,就寝前のブルーライトを主波長とする青色光照射が,睡眠障害を有さない若年男性の主観的睡眠感,注意力,作業効率に及ぼす影響を調査することである.
方法:対象は,12人の睡眠障害を有さない若年男性(年齢:20-23歳)であった.対象者は就寝前の 1 時間,♳白熱電球,♴青色光の 2 条件で照射を受けた.照射を行った翌朝,主観的睡眠感と注意力,作業効率について測定を行った.主観的睡眠感はOSA睡眠調査票(MA版),注意力は精神運動ヴィジランス課題,作業効率はパーデューペグボードを用いた.
結果:白熱電球照射後とブルーライト照射後の 2 条件間で主観的睡眠感に有意な差は認められなかった.作業効率は,ブルーライト照射後で白熱光照射後と比較し有意に低下した.また,ブルーライト照射後の注意力では10分間の測定時間の内,後半 5 分部分で反応時間が有意に延長した.
結論:本研究の結果は,就寝前のブルーライト照射が翌日の注意力と作業効率を低下させる可能性があることを示唆する.

キーワード:睡眠,ブルーライト,作業効率,注意,主観的睡眠感

主観的睡眠感について

本研究では、白熱電球ブルーライトの間に主観的睡眠感の有意な差が見られなかった。
別の研究において、睡眠時間を5時間に制限した場合、主観的眠気が増加した。7時間睡眠では主観的眠気に有意な差は生じなかった。

睡眠の客観的評価

深睡眠率は、青色光で有意に低下していた。(白熱電球:15.5±4.5、青色光:12.7±4.9)
深睡眠は心身の回復に関係するといわれ、深睡眠率が日中のパフォーマンスに影響を与える可能性がある。